今やダイエットと言うと「糖質制限」が真っ先に頭に浮かびますが
「なんだか辛そう」
「リバウンドが怖い」
「ちゃんと食べないと元気がでないし…」
などの理由で、本気で取り組めない方もいると思います。
そもそも食べなければ痩せるのは当たり前。
しかし、前回「ダイエット方法に科学的ランキングをつけたこの本を読むと、素人でも健康的な痩せ方が理解できてしまう」
でご紹介したように、わたしたちが本当に望んでいるのは、
一時的な減量ではなく、健康的な「理想の体型」を長く維持して行くこと。
そのために知っていただきたいのが今回ご紹介する
「低GI食品の効果を活用したダイエット方法」です。
この食品を上手に取り入れれば、面倒なカロリー計算や空腹がつらいダイエットをしなくても、長期的に体重をコントロールできます。
でも、ただ食べるだけでOKなんて、なんかモヤモヤしますよね?
どうしてそうなのか、もっと詳しく知りたいはずです。
この記事では、そんな不思議な低GI食品の効果と、代表的な食品、食事への取り入れ方についてまとめています。
痩せる事のみならず、健康管理にもきっと役立つと思いますので、ぜひこの機会にチェックしてみて下さい。
低GIの「GI」とは、グリセミック指数(Glycemic Index)という数値の事です。
グリセミック指数とは、食べ物が血糖値を上昇させるまでの速さを数値化した指数で、食品の炭水化物50g当たりで測定されたもの。
そのGI値が低い食品の事を、「低GI食品」と呼んでいます。
この指数は、カロリー(kcal)に代わるダイエットの指針となるものとして、注目されるようになってきました。
なぜ注目されているのか?とういと
摂取カロリーは同じでも個人の太り方に差が見られるからです。
例えば、みなさんの周りでも、
あの人たくさん食べる割に全然太らないね…
といった場面があると思いますが、その人が激しい運動をしていたり、病気だったりしない限り「太りにくい体質だ」と言われないでしょうか?
体型を気にしている人にとって「体質」のひと言で片付けられるのは納得しがたいかもしれませんが…。
このように食べ物のカロリー値を基準にして考えると、太り方に大きな矛盾が生まれやすいのです。
一方GI値は、食べ物が分解されて、エネルギーや脂肪になる過程で起きる体内の変化「血糖値」を基準とするため、100%完全にとは言えませんが、カロリー計算よりも具体的であると言えます。
詳しい仕組みは後述しますが
GI値が大きい食品を食べると血糖値が早く上がり、インシュリンの分泌が急激に増え、太りやすく、反対に数値が低い食品を食べた場合は、ゆっくりとブドウ糖に分解されるので血糖値の上昇はゆるやかになり、太りにくいのです。
低GIについて詳しく説明する前に、太る仕組みと血糖値&インシュリンの関係を解説しましょう。
インシュリンは、別名「肥満ホルモン」とも呼ばれているほどで、太る仕組みと密接にかかわっています。
食べ物に含まれる炭水化物は、体内でブドウ糖(グルコース)に分解されて身体に吸収されますが、血中のブドウ糖の事を「血糖」と呼んでいます。
血糖は、食事をすると増加し、数時間で減少していきますが、それはインシュリンが血中の血糖値を一定に保とうとする作用をもっているからです。
と同時に以下の事が起こっています。
1.血糖は、インシュリンの作用によって身体の各器官でエネルギー源として消費される。
ただし、血糖が多すぎると、余った血糖はインシュリンによってグリコーゲンと脂肪酸に分解され、体内に蓄積されます。
2.グリコーゲンは「貯蓄糖」とも呼ばれ、必要に応じてエネルギーに変えられ、消費される。
しかし、グリコーゲンの貯蓄量には限界があるので、グリコーゲンに分解できない血糖は脂肪酸となり、脂肪組織で脂肪に合成されます。
3.脂肪も必要に応じてエネルギー源として分解されるが、インシュリンは脂肪分解を抑制する作用も持っているため、分解が進まなくなる。
食事をすると血糖値が上がるのは仕方ありませんが、血糖の上昇がゆるやかであるか急激であるかということは、太りやすいかどうかに影響します。
上記の仕組みをみると、ブドウ糖がゆるやかに血中に増える分には、徐々に糖が分解されてエネルギーとして使用されるので、余分に残る糖は少なくなりますよね。
しかし、急激にブドウ糖が増えると、いちどにエネルギーとして消費される量には限界があるので、余分に残る糖も増えます。
すると、インシュリンが多量に分泌され、糖を脂肪に変え、蓄えていた脂肪は分解が進まなくなるのです。
このようにして、急激にブドウ糖が増える食べ方をしていると、インシュリン分泌が過剰になり、脂肪がたまりやすくなり、太ってしまいます。
低GI食品とは、厳密には、GI値が55以下のものを指し、70以上を「高GI食品」、55~70は「中GI食品」と定義されます。
ダイエットに最適な数値の目安としては、約60以下です。
食事を低GI中心に変えると、2つの注目すべきメリットがあります。
血中のブドウ糖の量と血糖値の上昇がゆるやかになり、インシュリンの分泌も低レベルに抑えられます。
すると、脂肪が増えにくくなり、蓄えられた脂肪も分解が阻害されずに済むので、痩せやすくなるわけです。
低GI食品を継続して摂ることで、もう1つのダイエット効果が得られます。
糖質をエネルギーに変えることが抑えられるため、それを補うために、脂肪をエネルギーに変えて消費するようになります。
理由は、体内で脂肪をエネルギーに変える為に必要な「グルコガン」というホルモンの分泌が増加するからです。
グルコガンが多く分泌される身体は、脂肪燃焼しやすい痩せやすい体質です。
1日3食の食事を、毎回低GI食品に変えれば、脂肪がたまりにくい、太らない効果が得られ、「痩せ体質」に変わっていくのですね。
低GI食品を利用したダイエット方法は、別名、低インシュリン(インスリン)ダイエットとも呼ばれています。
食事によってインシュリンの分泌をコントロールし、ダイエットを行う方法です。
低GIダイエットは、食品を選んでダイエットを行い、おもに炭水化物を減らす点において、糖質制限ダイエットとよく似ています。
ですが、痩せる仕組みとしては細かな違いがあるのです。
まずは、低GIダイエットと糖質制限ダイエットの違いを比較してみましょう。
〇低GIダイエットの方法
・GI値が低い食品を食べれば良いので、極端な食事制限、カロリー制限は不要です。
・空腹を感じずにダイエットを続けることができます。
・脂肪燃焼しやすい体質に変わります。
〇糖質制限ダイエットの方法
・糖質をカットし、血糖値が上昇しないようにします。
・食べないという方法なので、ルールはシンプルで効果が上がりやすいです。
・糖尿病などの治療食としても採用されています。
・制限が多くなるため、継続するのは困難がともない、リバウンドの危険があります。
〇低GIダイエットと糖質制限ダイエットの違い
・低GIダイエットは、空腹感を感じずに、誰でも取り組みやすい。
・低GIダイエットは食事のメニューの自由度が高い。
・糖質制限ダイエットは制限される食材が多く、外食は難しい。
・糖質制限ダイエットは、数値で管理しやすく、ちゃんとやれば短期間で効果がでやすい。
短期間で確実に体重を落としたい場合は糖質制限ダイエットが向いていますが、長期間にわたって体重をコントロールし、痩せ体質をキープするには、低GIダイエットが向いていると言えるでしょう。
例えば、この両者のメリットを利用し、最初の2週間は糖質制限をして、その後は低GIを継続する、という低糖質と低GIのメリットを掛け合わせるのも、効果の高いダイエット方法と言えます。
先ほどダイエットで用いられる低GI食品は、GI値が60以下と言いました。
糖質制限ダイエットでは主食を大幅に制限することもありますが、低GIダイエットでは、食べて良いものと悪いものを事前に知っておかなければなりません。
例えば主食でも精白米を玄米に変えるだけで、数値を下げる事ができるんです。
ここでは、クイズ形式で低GI食品をご紹介しますので、みなさんも考えながら読んでみてください。
正解は?
①玄米
精白米84、玄米56なので、低GIなのは玄米です。玄米フレークなども低GIですよ。
精白米は高GIですが、おかゆにすれば低GIになります。
②全粒粉パン
全粒粉パン50、フランスパン93で、低GIなのは全粒粉パンです。
パンは全般的に高GIで、バターロールやクロワッサンにも注意しましょう。
③中華麺
中華麺61、うどん80で、低GIは中華麺です。
麺類は、白い麺に気をつけましょう。そば、パスタなどは意外にも低めになっています。ただし、インスタントラーメンは高GIです。
肉魚介類は、低GI食品が多く、極端に言えばどれを食べても大丈夫。ですが、その中で最も低いものを探してみましょう。
正解は?
①ベーコン
ベーコン49、焼き豚51で、ベーコンのほうが低GIです。
肉類はどれも低GIで、加工食品になると多少数値が上がりますが、それでも十分に食べても良い食品になっています。
②牛サーロイン
牛サーロイン45、牛レバー49で、牛サーロインのほうが低GIです。ですが、肉類はどれも45前後になります。どの部位を選んでも食べられますね。
③まぐろ
まぐろ40、イクラ45で、まぐろのほうが低GIです。
魚は、あじ、いわし、さば、さんまなどほとんどが40です。かまぼこ、ちくわなどの加工食品は50以上になります。
乳製品は全般的に低GIです。高GIの食品も乳製品と一緒に摂るとGI値が下がり、食べられるようになりますよ。
正解は?
①牛乳
卵30、牛乳25で、牛乳のほうが低GIです。
でも、卵も十分に低GIですから積極的に摂りたい食品です。
②生クリーム VS バター
生クリーム39、バター30で、バターのほうが低GIです。パンに塗って食べると、高GIのパンも値が下がります。
③ヨーグルト VS チーズ
プレーンヨーグルト25、チーズ31~33で、ヨーグルトのほうが低GIです。高GIのフルーツはヨーグルトと一緒に摂りましょう。
正解は?
①ぶどう VS パイナップル
ぶどう(マスカット)は48、パイナップルは65で、ぶどうのほうが低GIです。
ぶどうは、巨峰が50、デラウェアが47、マスカットが48で、どの種類も低GIになっています。
②栗 VS びわ
栗60、びわ32で、びわのほうが低GIです。どちらも季節の果物ですが、栗のほうが太りやすいのですね。
③スイカ VS 夏みかん
スイカ60、夏みかん31で、夏みかんのほうが低GIです。
夏は冷たいスイカがおいしいですが、夏みかんのほうがヘルシーなのですね。
正解は?
①アーモンド VS くるみ
アーモンド30、くるみ18で、くるみのほうが低GIです。
でも、アーモンドも十分に低い値ですから、おやつに食べられますね。
②ピーナッツ VS 枝豆
枝豆30、ピーナッツ28で、ピーナッツのほうが少しだけ低GIです。お酒のおつまみにはどちらも使えますね。
③豆腐 VS 味噌
豆腐42、赤味噌33で、味噌のほうが低GIです。
味噌は、赤味噌33、白味噌34、合わせ味噌34となっています。いずれも大豆食品ですが、水煮の大豆は30で大豆食品はおからや厚揚げも含め、すべて低GIです。ダイエットにも安心の食材と言えますね。
食品のGI値をご紹介してきましたが、料理では調味料も使われます。
ここでは調味料に関するGI値の選び方を見てみましょう。
低GI:本みりん15、メープルシロップ73
高GI:上白糖109、黒砂糖99、はちみつ88
本みりんはきわめて低いGI値なので、積極的に活用したいですね。
また、パン粉や小麦粉はおおむね高GIです。衣は薄くつける、全粒粉を使うなどすると、GI値が下がります。
以上、おもな食品のGI値をご紹介しましたが、普段の食事に使われる食材についてもっと知りたい方は、下記の資料が便利です。
・コンビニ食のおすすめ
コンビニで買える低GI食品も覚えておくと便利です。
スープ春雨:春雨のGI値は32。水分を含んでふくらむので満腹感も得られ、ダイエットにはピッタリ。
昼食:おにぎりとポテトサラダのような組み合わせは高GIになってしまいます。
生野菜のサラダと鶏のから揚げ、みそ汁の組み合わせは理想的。
お弁当であれば、きんぴらごぼうや卵焼き、焼き魚などの入ったものを選び、ご飯を残しましょう。
おでん:コンビニのおでんは手軽ですが、食材によっては控えたほうが良いものがあります。
ちくわぶや魚肉練り製品は避けます。大根、牛すじ、こんにゃく、卵、昆布などはOKです。
・飲み会での食べ方
純米酒35、焼酎30、ワイン32など、お酒はおおむね低GIです。
居酒屋などでの飲み会でおかずを先に食べることになるのは、ダイエットに良い点です。
でも、居酒屋ではだらだらと食べ続け、血糖値が高めの状態が長く続くこともあります。揚げ物や肉じゃがなどは、高GI食品が含まれるので避けましょう。
できるだけ血糖値を下げるためには、お酢を利用するのがおすすめです。
初めに酢の物を注文し、焼きそばなどにもお酢をかけて食べるとダイエット効果が上がりますよ。
・揚げ物が好きな人のポイントレシピ
衣は薄くつけましょう。小麦粉を全粒粉に変えるとGI値が下がります。
揚げ物に野菜やチーズを使うのもGI値を下げるのに効果的です。
・お菓子好きな人のポイントレシピ
砂糖、小麦粉など、お菓子の材料には高GIの食品がそろっています。
砂糖を控えめにしてメープルシロップを使う、揚げ物と同様に小麦粉を全粒粉に変えると、GI値が下がります。
低GIダイエットのコツを覚えて、ダイエットを成功させましょう!
GI値60以下の食品にこだわることは、低GIダイエットの要です。
基本的に60以下のものを主食やおかずにする、どちらか迷った時はGI値の低い食品を選ぶ、など数値にこだわった食材選びを習慣にします。
とくに、ダイエットのスタートでは糖質を思いっきりカットし、GI値60以下の食品に徹底的にこだわりましょう。
そうすると、脂肪燃焼をうながすホルモン分泌が活発になり、痩せやすくなります。
食べる順番にもこだわりましょう。
理想の順番は、初めに食物繊維、次にたんぱく質、最後に炭水化物です。
サラダなどの野菜やきのこ類、海藻などを先に食べ、次に肉や魚料理、最後に主食のご飯を食べます。もしお腹がいっぱいになっていれば主食を減らします。
この方法は、炭水化物を減らすだけでなく、血糖値の上昇をゆるやかにするためにとても有効です。
お酢のGI値は米酢が8、穀物酢が3です。
薄口しょうゆが9、濃い口しょうゆが11、食塩が10ですから、お酢は調味料の中でもとくに低GIの食品と言えます。
GI値が高くなってしまう、焼きそばやラーメンも、お酢をかけて食べるとGI値が下がります。
洋風のお酢とも言えるワインビネガーはGI値が2ですから、フランスパンにもビネガーをかけると良いですね。
食べ方にもコツがあります。
早食いは太ると言われていますが、逆に、よく噛んでゆっくり食べると太りにくくなります。
満腹感を感じるには、食事が始まって20分くらい経ってからです。
急いで食べる人は、満腹中枢が刺激される前にたくさんの量を食べてしまうことになります。
ゆっくり食べたほうが、お腹がいっぱいになるのを感じて食べ過ぎを防ぐことができるのです。
また、短時間でたくさんの量を食べると、当然、血糖値が急激に上昇します。
よく噛むと唾液の分泌が増え、消化が良くなるのもメリットですね。
最後に、低GIに関するよくある質問にお答えします。
Q. 食事を減らさなくても痩せますか?
A. 食事は少し減らしたほうが痩せやすいです。GI値が低い食品も食べ過ぎると血糖値は上がります。
極端に減らす必要はありませんが、原八分目を心がけ、食事の前にお腹がすいている状態になるようにしたほうが良いでしょう。
Q. カロリーは気にしなくて良いのですか?
A. 低GIダイエットでは、GI値が低い食品を食べることが大切なので、カロリー計算は不要です。
ただし、カロリーが多すぎればやはり痩せにくいですし、カロリーが極端に低いのも低GIダイエットにはマイナス効果になります。
1日1200Kcalを下回ると痩せにくくなるので、だいたいのカロリーを把握しておくのも良いでしょう。
Q.リバウンドはしませんか?
A.低GIダイエットは食生活を見直して継続するダイエット方法です。
目標に達したからと言って元の食生活に戻すと、体重も元に戻ってしまいます。
目標体重に達したら、低GI食品をベースに使い、GI値の高い食品を増やしたり減らしたりしながら体重をコントロールしていきましょう。
今回は、低GI食品について、効果と活用の基本、ダイエット方法、レシピ作りのコツなどをご紹介しました。
糖質制限と比べると、減量よる体への負担が少ないのが低GIの魅力ですが、だからといってたくさん食べ過ぎるのはNG。
例えば、20代女性の1日の平均摂取カロリーは1800~2000が推奨されています。
実際これだけのカロリーを低GI食品で摂ろうとすると、結構な量になるので空腹感は薄いはず。
そこで年代ごとの平均摂取カロリーを目安に、もっと短い期間で結果を出したいなら、軽い運動する、総カロリーを少し抑えるなど、体重変化の進み具合を見ながら調整していくのがおすすめです。
これなら今までのダイエット法で挫折してしまった人も、続けられるのでは?
低GI食品を覚えて、ぜひ体重のコントロールに役立てて下さい!